Entries from 2016-09-01 to 1 month

現代小説における時間(人物の意識の内部を流れる時間) の分析(その1)

前回のブログで、ヴァージニア・ウルフの小説『燈台へ』の第一部第五章の全文を掲げた。このテクスト全文に関しては、E・アウエルバッハによる優れた分析がある(E・アウエルバッハ『ミメーシス----ヨーロッパ文学における現実描写----下』、第二十章、茶…

現代小説における時間(人物の意識の内部を流れる時間) ヴァージニア・ウルフ『燈台へ』

「もし明日お天気でないにしても」ラムゼイ夫人はウィリアム・バンクスとリリー・ブリスコが行きすぎるのにちらりと眼をやりながら、言った、「またほかの日があるでしょう」。リリーの魅力は色白な、巾着のようにすぼまった小さな顔にななめに切れ上がった…

現代小説における時間(人物の意識の内部を流れる時間)                  ----------『燈台へ』 

ヴァージニア・ウルフは、1919年あるエッセイの中で次のように書いた。 「平均的な一日における平均的な情緒について、ほんの一瞬でも吟味してみるがよい。情緒は、おびただしい印象を-------すなわち些細な印象、幻想的な印象、漠然とした印象、あるいは鋼…