Entries from 2016-02-01 to 1 month

カフカの『城』とは何か ・・・ 『城』を求めての果てしなき旅(続稿)

Interpretation(続き) Dabei bleiben die Machtmittel, die dem Schloss zur Verfügung stehen, unklar. Die Dorfbewohner leben in einer angstgeladenen, beklemmenden Atmosphäre, sie bringen den Beamten eine scheinbar völlig unangemessene Ehrfur…

カフカの『城』とは何か --- 『城』を求めての果てしなき旅(写真集)

http://www.xlibris.de/themes/xlibris/logo.png Fotos: Das Schloß Interpretation:Das Schloß Kafkas 1922 entstandenes Romanfragment Das Schloß zählt zweifellos zu den rätselhaftesten Werken der Weltliteratur. In vieler Hinsicht verweist er a…

カフカの『城』とはなにか ・・・ 『城』を求めての果てしなき旅(続稿)

十四世紀神聖ローマ帝国皇帝であったカレル四世(在位一三四六─一三七八年)治世の時代にプラハの街の骨格となる形がほぼ完成した。プラハ大学創設、カレル橋の創建、大司教座を置くなど歴史に残る多くの偉業を行なった。旧市街のほかに新市街の建設を促進さ…

カフカの『城』とは何か … 『城』を求めての果てしなき旅(写真集)

ユダヤ人墓地 ミュシャ:夢想 マラー・ストラナ プラハ本駅ホール プラハ旧市街ユダヤ人地区界隈 マラー・ストラナ マラー・ストラナ

カフカの『城』とは何か --- 『城』を求めての果てしない旅

フランツ・カフカの評価をめぐって(以下に記すのは、F-9会と称する高校時代の同級生たちの集まりで、カフカについて報告するために準備した資料や草稿をまとめたものである。既発表のもの、重複する資料等あるが、すべてはカフカの未完の大作『城』の謎に少…

カフカの『城』とは何か。(写真集)

(Egon Schiele: Vier Bäume) (C.D.フリードリヒ:朝日のあたる村の風景)

カフカの『城』とは何か。(続稿)

ウイリー・ハース著(原田義人訳)『文学的回想』の第一章「古いプラークのさまざまの秘密」の中で、ハースはカフカについて次のように語っている。少し長くなるが、引用してみよう。 私はマックス・ブロートを通じて、フランツ・カフカを知る。 フランツ・カ…

カフカの『城』とは何か。

ラティボジツェ城 カフカが『判決』や『審判』、『変身』などを書く時、彼の書く物語(レシ)には、話を占有する登場人物たちが描かれていながら、それと同時に、カフカと彼自身の話しか描かれていない。 おそらくこれは、作者─語り手─主人公という三者が同…

カフカの「語り」(3)

体験話法は、一般的に三人称の人物の思考過程もしくは言葉に表現されない意識の流れを、三人称の直説法で、しかもたいていは過去形で再現する形式である。体験話法は、語り手と作中人物の視点をダブらせ、両者の境目が定かでないようにする手法でもある。つ…

カフカの「語り」(1)

カフカが1912年秋に一夜で一気に書き上げた『判決』の最後は、「この瞬間、橋の上にとめどない無限の雑踏が始まった。」という一文で終わる。この最後の幕切れをめぐって、カフカ研究者によってさまざまに論議されている。この最後の一文は、一体なにを言お…

カフカの「語り」(2)

『変身』からの引用した文章War er ein Tier, da ihn Musik so ergriff ? 「こんなに音楽に感動するのは、(俺は)やはり動物なのだろうか」を、筆者は体験話法の例として挙げた。体験話法(英語やフランス語では自由間接話法)は、一般に作中人物の内的な意…

小説の一人称形式の語りの特徴(1)

「物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはいけない」「物語の中に、必然性がない小道具は持ち出すなということだ」。 「チェーホフの銃」とは、劇作家アントン・チェーホフが、ドラマの原理についての換喩を要約した名言で、「物語の前段で登場さ…

小説の一人称形式の語りの特徴(2)

一般に一人称の語り手(私)による小説の場合、とりわけ自叙伝的な小説の場合、「語る私」と「体験する私」との間に二極構造的な緊張関係が見られるのが普通である。たとえばディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』のような作品において典型的に見られ…

小説の一人称形式の語りの特徴(3)

初めに敬愛する友人田多井探検隊長の視薬(写真)を掲げ、当ブログを読んでくださる方々へしばしの間、息抜きのひと時を捧げたい。 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』は、訳者の村上氏が言うように、ある意味で作者自身による「自己のトラウマの分析と、その…