Entries from 2012-10-01 to 1 month
ムカジョフスキーは、文学テクスト分析の方法論上の出発点として、伝達の表現(伝達文)と詩的テキストを截然と区別し、たとえば「夕暮れになる」という表現が伝達文とみなされる場合には、受け取る者の注意は、記号としてのテクストと意味表現として指し示…
長年にわたる関心の対象、すなわち≪中欧論≫をめぐる諸テーマを思い描きながら、いささかキザな表現ではあるが、それを「心の旅」として素描すれば、おおよそ次のような内容になるだろう。 ≪中欧への心の旅≫ ①ウィーン・バウエルンマルクト10 グリルパルツァ…
まず「カムイ外伝」。白土三平の劇画(コミック)を実写映画化したこの作品は、簡単に論ずるのが難しいようだ。ワイヤー・アクションやCGによる特殊技術を駆使した映像の作為的な不自然さばかりが酷評されがちではあるが、抜け忍として孤独な逃亡生活を送…
まるでシュティフターを思わせるような細やかな筆致で、北部ボヘミア地方の山村を舞台にして、四季の自然の推移や、多くの孫たちに囲まれての祖母の日々の営みが淡々と描かれている。語り手はおばあさんであるが、物語の流れは決してスローテンポではなく、…