Entries from 2011-09-01 to 1 month

実用言語と詩的言語

詩的言語は自らのうちに存在理由をもっている。詩的言語は、それ自体が目的であって手段ではない。詩人は、言葉を記号として利用することはしない。というよりは利用することができない。詩人はつねに名づけようのないものに向かって、それを名づけようとす…

≪中欧論≫ プラハの街の地形学

プラハの街(1) 14世紀神聖ローマ帝国皇帝であったカレル4世(在位1346−78年)治世の時代に街の骨格となる形がほぼ完成した。プラハ大学創設、カレル橋の創建、大司教座を置くなど歴史に残る多くの偉業を行なった。旧市街のほかに新市街の建設を促進さ…

≪中欧論≫ クラウス・ヴァーゲンバッハ著『若き日のカフカ』(中野・高辻訳)を読む

ヘルマン・カフカ(父)は、チェコ・ユダヤ系の地方プロレタリアートの出身で、プラハにおいてもヨーゼフ区のスラム街に住んでいたのに対し、ユーリエ・レーヴィ(母)は、裕福なドイツ・ユダヤ系家族の出身で、プラハでは旧市内広場の「スメタナ館」に住ん…

2011 信濃木崎夏期大学講義『音を紡ぐ・音で紡ぐー文学と音楽ー』を聴講して

木崎湖を渡ってくる心地よい涼風に暑さも忘れながら信濃公堂で聴いた講義『音を紡ぐ・音で紡ぐ』は、不思議な夢のような世界へ私を導いてくれた。講師は作曲家の飯沼信義氏。講義の内容を端的に言えば、太宰治の原作短編『魚服記』と、それをNHKがラジオ・オ…