早期食道ガン、再発を禁酒で半減

 早期の食道がんの治療後に起きやすい再発は、禁酒をすることによって確立を半減できるという調査結果が、全国16の医療施設でつくる研究チームによって専門誌に発表された。これまで禁酒によって食道がんの再発をどの程度減らせるか正確なことは、分かっていなかった。研究チームの武藤学・京都大学教授は「早期でがんを見つけて内視鏡治療を受ければ、食道を温存できる。一方で、再発の可能性が残る。治療後も定期的な検査を受け、禁酒をすることが大切です」と話す。(10月30日、朝日新聞朝刊の記事から。)
 国立がん研究所H病院では、小耳にはさんだところ、内視鏡治療に特化した研究治療施設を建設中であるとのこと、これが実現するとなれば、奇跡的とも言うべき成果が生まれるかもしれない。(夢かもしれないが)身体に負担をかけないあらゆる手術が可能になり、重症の患者にはこの上ない朗報をもたらすだろう。そして本当の意味での Quarity of Life が患者に担保されるであろう。

 食道がん手術後の痛み
食道の手術では、頸部、胸部、腹部で、がんの病巣を摘出したり、リンパ節を切除するため、広い範囲に手術の創あと(術創(じゅつそう))ができます。手術直後から、その創を中心に痛みが生じやすくなります。手術後の痛みは、治療後の悩みになるばかりでなく、引き続いて行われる治療やこれからの療養について積極的になれない、痰を強く出せない、そのために肺炎になりやすい、といったことにつながることがあります。手術後間もない時期に痛みがあるのは、自然なことです。痛みは我慢しないで、積極的に医師や看護師に伝えましょう。痛みの性質や状態に応じた処置がなされます。軽い痛みの場合には、痛みを過剰に気にしないように気分転換することも、痛みを和らげることにつながります。胸やおなかの創が痛むことや、体の向きが制限されて痰を吐き出せないでいると、気管支炎や肺炎にかかる危険性が高くなります。意識的に痰を出すように努めましょう。手術前の準備が大切です。呼吸訓練器を渡されたときは、指示に従って正しい方法で練習します。また、痰の出し方について、看護師に尋ねておきましょう。口をすぼめて鼻からおなかの底まで息を深く吸い込み、勢いよく「ゴホン!」と吐き出す方法がよく用いられます。手術の後で痛みが強いときや、寝たままの状態のときには、うまくできないかもしれません。そのときには、保湿したり、気管支を広げる薬を吸入する(ネブライザー)処置が行われたりします。頸部や胸部の手術のとき、声帯の動きを調節する神経(反回神経)の近くのリンパ節を取り除くことにより、反回神経麻痺(まひ)が起こることがあります。声を出したり、食道や気管に入る食べ物や空気の流れを調節したりする機能を持つ声帯の動きが悪くなるために、声がかすれる、食べたものが喉もとでつかえる、むせる、誤嚥(ごえん)しやすくなる、などの症状があらわれます。また誤嚥は、肺炎の原因にもなります(誤嚥性肺炎)。
自然に治ることも多いので、通常、特に治療はしないで経過をみますが、声帯や喉に関しては、耳鼻咽喉科の医師の診察を受けることもあります。医師や看護師、言語聴覚士に、声の出し方や、むせにくい食事の仕方について相談してみましょう。
(参考:国立がん研究センター:食道ガンの療養情報)