チロルの思い出 ・・・続き

 アッヘン湖とツィラータールへの入り口であるイェンバッハ(Jenbach)は、インスブルックから列車で東へ20分ほど離れたところにある小さな町である。アッヘン湖はイェンバッハの北、海抜931メートルの山中にあるチロルで最も高い所にある湖である。イェンバッハから標高差418メートルをアプト式の登山鉄道が最大斜度15度の急傾斜をあえぎながらゆっくり登ってゆく。湖に着くとあいにくの曇り空であったが、眺めは美しかった。蒸気船での湖畔めぐりは、時間の都合で諦め、少し散歩してから再びミニSLに乗り込んだ。車掌が車外の通路を器用に歩いて検札に来るのも面白い。イェンバッハ駅では、停車している蒸気機関車と客車の可愛らしい姿を見ることができる。

 イェンバッハから南へ50キロほど延びている広々とした明るい感じの谷が、ツィラータールである。谷の中心マイヤーホフェン(Mayrhofen)まで鉄道で1時間ほど。その昔
エッツタール(Ötztal)の谷をバスで一番奥の村まで行ったことがあるが、その谷間に迫る急峻な崖に比べれば、ツィラータールは本当にのどかな雰囲気だ。ちなみにエッツタールの一番奥の村の名はObergurgl(オーバーグールグル)であった。氷河と雪を戴くアルプスの峰が連なる景観であったが、イタリア国境に近く、山を越えれば麓には南チロルの保養地メラーノの(Merano)町があるはずだった。
 今回はイェンバッハから鉄道に乗り、マイヤーホフェンまで足を延ばした。ホテルは、少し見栄を張って、谷間を流れる川を挟んで樹間に優雅で気品のある外観を見せているHotel Elisabethに決めた。








エッツタール渓谷の最奥の村オーバーグルグルの教会と周辺の風景。





                        オーバーグルグルのリフト山頂駅Hohe Mutから氷河を望む。
                            












エッツタール渓谷の中心の町セルデン(Sölden)