Entries from 2016-02-05 to 1 day

小説の一人称形式の語りの特徴(1)

「物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはいけない」「物語の中に、必然性がない小道具は持ち出すなということだ」。 「チェーホフの銃」とは、劇作家アントン・チェーホフが、ドラマの原理についての換喩を要約した名言で、「物語の前段で登場さ…

小説の一人称形式の語りの特徴(2)

一般に一人称の語り手(私)による小説の場合、とりわけ自叙伝的な小説の場合、「語る私」と「体験する私」との間に二極構造的な緊張関係が見られるのが普通である。たとえばディケンズの『デイヴィッド・コパフィールド』のような作品において典型的に見られ…